企業においては、従来からある構造化データは勿論のこと、ソーシャルメディアに集まる非構造化データなどの膨大かつ多種多様なデータをいかに効率的に収集・蓄積し、解析、予測するかが、 企業の競争力強化、経営者の意思決定の精度向上など、企業の命運を左右する重要な鍵となっている。
日本政府が2015平成27年6月30日閣議決定した「日本再興戦略」改訂版では、IoT、ビッグデータ、 人工知能による産業構造・就業構造変革の検討が主要施策の一つとして掲げられ、「第5期科学技術基本計画」(平成28年1月25日閣議決定)においても、「「超スマート社会」の実現に向けた共通基盤技術や人材の強化」として、AI等の重点的な取り組みを明確すると共に、関係府省・機関の連携による研究開発を推進することを決定した。今後IoT、ビッグデータ、AI(人工知能)は、我国の製造業などの企業の国際競争力向上の施策として、また、電気料金の高騰、肥大する医療費、公共施設の老朽化、農業の効率化、自然災害対策など、我が国が抱える多くの課題に対するソリューションとしてますます活用されることが予想される。
2016年11月4日、東京・お茶の水ソラシティカンファレンスセンターで、「IoTイニシアティブ2016~ IoT・AI・ビッグデータがもたらす破壊的イノベーションとビジネス革新~」が独立行政法人情報処理推進機構【IPA】)、経済産業省など他15団体の後援のもと開催された。
IoTイニシアティブ2016の基調講演では、IIC(インターネット・イニシアティブ・コンソーシアム)でエグゼクティブ・ディレクター、リチャード・ソーレ氏が「IICの役割と、国際連携の重要性」について講演。ソーレ氏は「われわれはインターネットによる産業革命の前夜にいる。今後生産性が2.5倍から4倍となる新しい社会をどう作っていくのかがとても重要だ」と述べた。
続けて、経済産業省の吉本豊商務情報統括調整官による特別講演では、政府が進めるIoT推進コンソーシアムの活動内容および今後の方向性について、また「IoTとAIの融合によるビジネスモデルへの挑戦」をテーマに講演を行った。
産業技術総合研究所人工知能研究センター首席研究員の西田佳史氏による特別講演では「繋げるAIによる生活機能レジリエント社会の構築」を解説、「隠れている社会課題の解決にAIが大いに役立つ社会が来る」と力説した。
IoT・AI・ビッグデータの最大活用による破壊的イノベーションの実現と題したパネルディスカッションでは、IPA・SEC(ソフトウェア高信頼化センター)所長の松本隆明がモデレータを担当し、農業・食品産業技術総合機構の平藤雅之氏、LIXILの高田巌氏、自治医科大の藍原雅一氏が、それぞれの企業・組織でのIoTの取組み状況や課題について紹介され、R・ソーレ氏が米国の状況について解説した。
2016年11月4日開催 IoTイニシアティブ2016 講演詳細 ※ 2016年11月時の肩書きとなります。
世界のIoTをリードする、IIC(インターネット・イニシアティブ・コンソーシアム)でエグゼクティブ・ディレクターを務めている、リチャード・ソーレ氏を招聘、「IICの役割と、国際連携の重要性」をテーマに特別講演が行われた。
経産省の吉本豊商務情報統括調整官が、政府が進めるIoT推進コンソーシアムの状況に触れながら「IoTとAIの融合によるビジネスモデルへの挑戦」をテーマに、次々現れ始めてきているプロジェクトを紹介した。
平藤氏が所属する研究センターは北海道帯広市にある。はじめにその研究センターがあるエリアの農業環境を説明した。
自治医科大学地域医療学センタ地域医療情報学部門講師の藍原雅一氏が登壇し、全国に先駆けて実現を目指すスマートヘルスケアシティの取り組みが語られた。