量子中継システム×量子鍵配送システムによりQKDの長距離化を検討
SFのみならず現実社会でも「重ね合わせの原理」や「量子もつれ」といった言葉を耳目にするようになった。近年、粒子と波の性質を有することを礎にした量子力学の原理を利用する、量子鍵配送(QKD)は、量子コンピュータにても解読不能な暗号通信の実現技術として注目されている。
金融、医療、エネルギー、データセンター間通信等の分野での実証など、それはいま、社会実装に向けた取り組みが活発に行われている。一方で、さらなる長距離化、高速化、大規模ネットワーク化に向けた技術的課題も抱えているという。東芝とLQUOMは、量子インターネットの実現を見据えた中長期的な技術基盤の構築およびエコシステム形成の一環として、QKDの長距離化に向けた検討を進める共同研究契約を締結した。
もつれ生成/量子テレポーテーションを応用する量子中継(参考資料:文科省PDF)は、量子状態を損なうことなく長距離伝送を可能とする技術であり、QKDを含む量子通信の長距離化を達成する際の必須要素だ。将来の量子ネットワークの基盤技術としてその確立が期待されているという。両社は、量子中継システムと量子鍵配送システムを組み合わせることにより、QKDの長距離化に向けた技術的課題と実現性について検討する。
今月から来年3月までの一年間、それぞれ多様な形式が存在するQKD方式、および量子中継方式の中から、性能面ならびに実装面の観点を踏まえ、長距離量子鍵配送の実現に向けた最適な組み合わせの検討を行う。東芝は主にQKDに関する方式検討を担い、絶対安全な量子インターネットの実用化を目標にしているディープテック・スタートアップのLQUOMは主に量子中継システムに関する方式検討を担当するという。
両社は、今回の共同研究で得られる知見を、量子鍵配送や量子インターネットを含む量子通信分野の研究開発に活用し、安全・安心な次世代情報インフラの実現を目指していく構えだ。