自動車部品の設計では、より早く高品質な商品を生み出すためにコンピュータで性能をシミュレーションするモデルベース開発(MBD)の導入が進んでいる。
設計内容が顧客の要求仕様を満たしているかを確認するFEM(有限要素法)解析においては、要求仕様を満たしていない場合、再設計後に再度FEM解析を行わねばならず、自動車のタイヤの回転を支える第3世代ハブベアリングは、軸受とボルトなどを一体化した複雑な形状(PDF)のため、これまでFEM解析には高度な計算が必要だったという。
NTNは、第3世代ハブベアリングの設計に活用している自動計算システム「ABICS」(参考文献PDF)に、軸受業界で世界初('25年12月同社調べ)となる手法によるAI・機械学習技術を導入した。これにより、性能評価に伴う解析時間を従来の1/10以下にし、要求を満たす寸法を自動設計することが可能となる。設計工数の削減を通じて、顧客の開発期間の短縮に貢献する。
新たな仕組みでは、FEM解析の一部を高速に予測し、要求仕様未達なら自動で適切な設計寸法を提示できる仕様とした。設計寸法を入力して解析結果を予測するために、多くのデータから必要なものだけを選んで予測を行うLasso回帰を用いたシミュレーションモデルと、効率よく最適解を得るアルゴリズムであるベイズ最適化を組み合わせ、広範囲で高精度な予測と寸法提案を具現化している。
今回導入したAI技術を活用し、2029年度までにABICSで全FEM解析を自動予測し、最適設計案を提示できる機能の実現を目指す。これにより、設計工数はABICS導入前と比べて約90%削減できる見込みだという。同社は、今後もCAEやAIなどのデジタル技術を活用し、研究開発の効率化・高度化を推進するとともに、高機能・高品質な商品を顧客に迅速に提案する――。これらの技術を扱うデジタル人材の育成にも取り組んでいく考えだ。