リアル空間の工場や都市などをサイバー空間で再現するモノのデジタルツインの実用化が進む。一方で、センサーやAIといったITおよび情報処理技術の発展とともに、人を再現するヒューマン・デジタルツイン(HDT)の活用が注目されつつある。
そこでは物理的な身体負荷等のシミュレーションが先行していて、近ごろ心理状態や価値観、パーソナリティー、感情などの人の内面的な情報も反映したHDTのニーズが高まっている。たとえば、HDTを活用してアンケートやインタビューの結果をシミュレーションする場合、個人や集団の傾向や意思決定に至る内面的な情報を反映したHDTが必要であり、同情報を精緻に反映し模擬できれば、実世界の人への調査なしに――
当該結果を世代や地域ごとの価値観を踏まえた政策立案やマーケティングなどへ迅速に役立てられるという。MRIとNECソリューションイノベータは15日、シミュレーションやサービス設計に活用する「HDT」の技術実証等を目的とする共同研究を開始した。実世界の人に働きかけて行動の変化を促す取り組み(介入)の結果と、"日本人HDT"で同じ介入をした結果を比較することで、HDTが実世界の人の行動の変化をどこまで再現できるかを検証する。
①日本人の心理・行動特徴を学習したHDTの開発、②実世界(日本国内)の人への行動変容を促す介入実験の実施(健康維持のためのセルフケアを促す介入など)、 ③①で開発したHDTで②を再現する実験の実施、④実世界とHDTの実験結果の比較・分析をおこなう。
両社は、この研究活動を通じて"日本人"の再現度合いを評価し、HDTの可能性と今後の展望を明らかにする。同研究から得られた知見を活かし、シンクタンク領域のコスト抑制・高速化などに貢献しつつ、一人ひとりにきめ細やかに寄り添うようなサービスや社会基盤の改善など、革新的なサービスや産業の創造につなげていく考えだ。