情報通信
シラスウナギの流通適正化をDX、採捕および取扱事業者の負担を軽減
漁獲期を迎えた今月1日、「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」がシラスウナギに適用された。これにより事業者には、①行政機関からの届出番号・事業者割振り番号の取得、②取引における漁獲番号等の情報伝達、③取引記録の作成と3年間の保存が義務付けられる。
水産流通適正化法における取引記録は、端的に言えば煩雑(施行規則)だ――。1日100件超の取引が行われる場合もあり、事業者の事務作業の効率化が課題になっているという。デンソーは今月より、全日本持続的養鰻機構を通じて、シラスウナギの採捕事業者および取扱事業者に「シラスウナギトレーサビリティ支援システム」を提供する。
上記流通適正化と事業者の負担軽減に寄与する。同システムでは、各採捕事業者がログイン用QRコード(デンソーウェーブ登録商標)を読み取ることで、届出番号を含む漁獲番号を自動生成できる。ここに取引量を入力すると取引記録が作成され、データベースに保管される。採捕事業者からの一次取扱事業者は次の取引に必要な取引記録のみを参照できるQRコードを発行・伝達。同コードを参照し、容易に記録を確認できる。
取引記録は当事者とその取引相手のみが閲覧できる仕組みで、高い情報セキュリティを実現している。開発の際、同機構を通じて鹿児島県、宮崎県、愛知県の一部地域の事業者と実証実験を行い、実証参加者からのフィードバックを基に、高齢者や初心者でも使いやすいUIの採用、多様な取引形態への対応、ステム利用者数の増加を見据えたサーバー処理能力の最適化など、実運用に向けた改良を重ねた。
同システムは、年間約1万人の利用を見込んでいる。今後さらに多くの事業者に利用してもらえるよう取り組んでいくという。同社はこれからも、資源の持続可能性を支えるソリューションの提供と、食流通に携わる事業者の負担軽減に向けた取り組みを通じ、食の安心安全に貢献していく構えだ。