気候変動対応は国際社会全体の喫緊の課題だ。昨今、多くの企業がGHG(温室効果ガス)排出量実質ゼロに向けて、全サプライチェーンでの同排出量の開示や削減に取り組んでいる。供給網のグローバル化に伴い、国際的な共通基準で一層実態に即した量を見積るため、2023年3月に物流領域における算定基準ーー
ISO 14083:2023が発行された。同年改正の内閣府令で有価証券報告書への「サステナビリティに関する考え方及び取組」記載欄が新設、25年3月に基準委員会からサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)が公表され、東証プライム上場企業はその規模に応じて段階的に同基準に沿った開示の義務化が始まる見込みであり、多くの組織が対応を迫られているという。
ヤマト運輸は18日、法人向け会員サービス「ヤマトビジネスメンバーズ(YBM)」に登録している法人顧客を対象に、宅急便などの輸配送工程で生じたGHG排出量を算定する「温室効果ガス排出量提供サービス」を開始した。同サービスの算定方法は、ISO 14083:2023に準拠しているため、より実態に即したGHG排出量の算定ができる。さらに、算定プロセスを自動化しているため、算定申込後、最短2営業日で算定結果の提供が可能だ。
宅急便 、宅急便コンパクト、EAZYの発払のみ、日本国内(離島を除く)発着の荷物を対象に、同国際規格に基づき、「燃料法」や「燃費法」などを用いて算定。第三者機関(ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン)による妥当性評価を取得している。預かった荷物のサイズや発着地、発送個数などからGHG排出量を集計し、1カ月単位で総排出量を「温室効果ガス排出量レポート」として提供する。
同社は、上記新サービスを提供することで、より実態に即したScope3のGHG排出量の算定を実現し、サステナビリティ情報開示の効率化に貢献する構えだ。