ICカードなど異素材構成製品を再生プラスチック資源として活用する

環境負荷低減等に向けて、各種素材の再資源化と再利用を義務づける動きが加速している。近年、欧州では自動車に再生プラスチックの使用が義務づけられるELV規制案の議論が進んでいる。

日本は「プラスチック資源循環戦略」にて、2035年までに使用済みプラスチックを100%リユース・リサイクル等により有効利用と謳っている。現在しかし、ICチップやアンテナなどの金属部品とプラスチックで構成されたICカードのような製品は、再資源化の処理が難しく、廃棄されるケースが多い。そのような状況に課題感をもち、資源循環について検討を進めてきたという。

DNPは、ICカードのプラスチックを再資源化する技術をパートナー企業と共同開発した。粉砕工程とフィルター工程の組み合わせにより、金属部分を効率的に除去し、再生プラスチック資源として活用することに成功した。同技術を基に、クレジットード等のICカードの製造から回収・再資源化・プロダクト製造・生活者コミュニケーションまでのフローを設計し、カード会社等の資源循環推進に向けた取り組みを支援する。

ICカードの国内製造でトップシェア――長年培ってきたノウハウを活用し、回収の段階で細かく裁断して個人情報が読み取れなくなる回収ボックスを用いることで、ICカードを安全に回収するプロセスを設計している。同社は今回開発した技術を軸に、ICカードの安全な回収・再資源化・プロダクト製造のプロセス(特許出願中)を提供し、プラスチックの資源循環をサポート。再資源化したプラスチックのICカードへの水平リサイクルも長期的に目指す。

今後、金属を含むICカードを始めとした異素材で構成されるプラスチック再資源化の取り扱い規模の拡大や、対象製品のラインアップ拡大を進める。同社は、今回の仕組みを「DNPサーキュラーエコノミー実装支援サービス」の一部として、「第5回サステナブル マテリアル展」で紹介する。