情報通信
東北・大阪・名古屋のスパコン連携で津波浸水被害を最長6分間で予測
大規模地震による津波災害は非常に広範囲に被害を及ぼす。そのため被害状況の迅速な把握が難しくなることが懸念される。2011年3月の東日本大震災での教訓を生かし、リアルタイム津波浸水被害予測システムを産学連携で開発し運用してきた。2023年度からはSIP第3期――
スマート防災ネットワークの構築(内閣府PDF)に参画し、Society5.0における津波災害デジタルツインの構築とスマート・レジリエンスの実現として全国の沿岸を対象に、より高精細で高度な被害予測を達成する研究開発に取り組んでいる、東北大学と、大阪大学ならびに名古屋大学は、システム構成や運用形態の異なる各々のスーパーコンピュータを連携させ、遠隔地間で津波浸水被害予測シミュレーションを分担実行することに成功した。
緊急事態発生時にその時点で利用可能なスパコンを素早く確保する仕組みの実現に向け、東北大学サイバーサイエンスセンターが中心となり取り組んだ。今回、計算基盤ExpressHPC(仮称)によって、東北大の「AOBA」に兵庫県、阪大の「SQUID」に高知県、名大の「不老」に和歌山県の津波浸水被害が割り当てられ、各最長でも6分以内に予測を正常完了できることを確認した。
異なる構成・運用形態のスパコンを速やかに確保・連携活用することで、防災減災に資する大規模シミュレーションを分担して緊急実行できる技術的な可能性を実証した。JHPCN採択課題(jh250062)の一環として上記センター、阪大D3センター、名大情報基盤センターが協働して実験を行った。
今度の成果は実災害時にシミュレーションの緊急実行を行う体制構築に向けた第一歩であり、今後は同実証で得られた知見を基にさらなる技術開発と運用体制の確立を進めていくという。3者は国内外の他機関との連携も検討し、より大きな枠組みの中で防災減災に役立つ技術および運用体制づくりを進めていく構えだ。