液化H2燃料供給機からの舶用水素エンジン陸上運転を世界初達成!

「2050年カーボンニュートラル」宣言の下、同年までに温室効果ガス(GHG)排出量を差し引きゼロにする。当該目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現にはエネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションなど、現行の取り組みを大きく加速させる必要があるという。

NEDOの「グリーンイノベーション基金事業次世代船舶の開発」委託事業において、舶用水素エンジンおよびMHFS(舶用水素燃料タンクと燃料供給システム)の開発を推進している、川崎重工ヤンマーパワーソリューションジャパンエンジンは、同事業による世界初の取り組みとして、実証用の液化水素燃料供給設備をJ-ENG本社工場に設置し、舶用水素エンジンの陸上運転に成功した。

川重が製造した3社共用の同設備は、液化水素を貯蔵してガス化し、各社のエンジンへ高圧/低圧で水素燃料を供給。2ストローク主機関と4ストローク補機関、または電気推進船向け4ストローク主発電機関など、実船での各種用途を想定しつつ異なるポートフォリオを満たしたエンジンの運転を可能としている。そして今回、川重とヤンマーPSの中速4ストロークエンジンで、ゼロエミッションに資する水素燃焼を実現し、所定の出力で運転できることを確認した。

性能確立を目指し、開発を継続していく。J-ENG製低速2ストロークエンジンは来春頃の運転開始に向け、現在順調に開発が進められている。これらのエンジンに共通した特徴は、GHGの大幅な削減が見込まれるとともに、水素とディーゼル燃料を切り替える二元燃料仕様により冗長性を確保していることだという。

同事業で今後、船社・造船所と協力し、それぞれの実船実証運航を行い、社会実装につなげていく。3社は、国産メーカーとして技術を結集することで、将来的な水素燃料船の普及拡大をリードし、「2050年カーボンニュートラル」実現に貢献していく構えだ。