
国内の上下水道事業は多様な問題を抱えている。自治体の財政難や技術者不足、施設の老朽化といった問題の解決に向けて、政府は2023年、公共施設等運営(コンセッション)方式に段階的に移行するための官民連携方式を新設――
「ウォーターPPP」を公表しその導入目標として31年までに水道・下水道・工業用水道で計225件と提示(内閣府PDF資料)。当該導入により民間企業の役割が一層拡大し、事業の包括化や広域化も進むと見込まれる。一方、上下水道施設の運転・維持管理業務において、数百~数千に及ぶ機器や設備の保守・点検作業は、現場作業員(運転管理員)の巡回と目視等――五感や熟練の技術に頼る部分が多くを占めているという。
メタウォーターならびにNTT、NTT東日本、NTT-MEは今月より共同で、①IEEE802.11ah(Wi-Fi HaLow)等を活用した「上下水道施設における情報通信ネットワークの最適化」と、②IoT/AIを活用した「保守点検業務の自動化」の実現に向けた実証実験を、宇都宮市上下水道局 清原水再生センターにて2027年3月までの予定で行う。
①では多様な通信網ラインアップ/ノウハウ/エンジニアリング力と、水・環境特化型クラウド基盤「WBC」およびオペレーションサポートセンターを連携させて、最適な情報通信ネットワークの構築をめざす。一方②では、現場での機器や設備の確認から判断、記録に至る一連の保守点検作業について、上記ネットワークを基盤として、映像・IoTセンシングと生成AIの活用により、人手を介さず成立させられる仕組みの開発と検証を実施する。
メタウォーターグループとNTTグループは、今回の実証実験により、上記①及び②の有効性を明らかにし、本格実装に向けた検討を進めていく。自治体のインフラ運営など様々な課題に対し、本実証実験で得られた成果を活用し、地域の課題解決も目指していくという。