世界初!マルチコア光ファイバによる海底伝送路のリモート保守に道

AI、IoTの普及やDXの進展により世界全体のデータ通信量は増加の一途をたどっている。今後も飛躍的に増大すると予想される。国際通信を支える光海底ケーブルは一層大容量化が求められていて、光ファイバ1本あたりの伝送容量を拡大できる"マルチコア"への遷移が考えられている。

マルチコア光ファイバの導入検討が進む中、運用・保守面でも新たな技術的対応が求められている。現在、主流のシングルモード光ファイバを用いた光海底ケーブルシステムでは、コヒーレントOTDR(光時間領域反射率計)を用いて光ファイバの破断位置の特定や損失分布の測定を行い、光伝送路品質を担保している。が、マルチコア光ファイバでは、コア間クロストーク(光信号漏洩)の影響により同計測器では正確な測定をできない可能性がある。

従来、マルチコア光ファイバを用いた光海底ケーブルシステムでの光伝送路特性の測定は困難だったという。アンリツKDDI総合研究所は、マルチコア光ファイバを用いた次世代の光海底ケーブルの遠隔監視システムを設計・構築し、その試験環境において光パルス試験器「コヒーレントOTDR MW90010B」を用い、光海底ケーブルの運用・保守に必要な障害位置特定や損失分布の計測など、世界初だとする、光伝送路特性の測定に成功した。

当該測定結果を活用することで、中継器を介した光ファイバ全長にわたるコア間クロストーク分布の測定が可能であることも確認し、コア間クロストーク分布の長距離での可視化も、世界で初めて達成した。

これにより、マルチコア光ファイバの品質状態やトラブルを遠隔から"見える化"し、光海底ケーブルの信頼性向上と運用効率化に大きく貢献する。光海底ケーブルのさらなる大容量化と国際間の安定通信の保持に向け、今後も連携して研究開発を進めていく。両社の、今回の成果は光通信分野で世界最大規模の国際会議「ECOC 2025」で発表される。