
米国食品医薬品局(FDA)は今春、医薬品研究開発における動物実験を廃止し、AIや培養細胞を用いた試験に置き換えていく方針を示した。創薬における動物実験の削減・代替・高度化(3Rs)は今や国際潮流であり、各国で毒性試験の過去データの有効活用や新技術の導入が求められている。
AIを用いた毒性試験データ解析は網羅的で偏りのない評価を可能にする。独自開発した特化型AI「KIBIT」を搭載するこのサービスは、既存文献にない未知の関連性を科学的・体系的に発見可能とする、毒性試験報告書の解析から新たな知見を導き出すことで、新規化合物の毒性予測にも有用だと期待されているという。
FRONTEOは、第一三共と、AI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」を活用した毒性試験データベースおよび毒性試験報告書テキスト情報の解析業務に関する契約を締結した。これは両社が昨年11月に開始した「毒性試験報告書テキスト情報解析の取り組み」にて、有用性が確認されたことを受け、DDAIFを用いて毒性試験データベースや毒性試験報告書テキスト情報のさらなる活用を進めることを目的とするものだ。
上記取り組みの成果は「第52回日本毒性学会学術年会」にて第一三共の研究チームが発表した。今回新たに、毒性試験データベースから得られる数値データおよびこれに対応する毒性試験報告書記載の毒性判断の自動紐づけの可能性について検討する。そのうえ、改良データベースの構築や、その定期的なアップデートに向けたコンサルティングを行う。
同社は今後も「KIBIT」の自然言語処理技術と独自の解析手法を駆使したAI創薬支援サービス「DDAIF」の高度化と社会実装を通じて、革新的医薬品ならびに治療法の研究開発、医学・薬学研究の進展、医薬品産業の発展、医療の質ならびに患者のQOL(生活の質)向上に貢献していく考えだ。