水道管の劣化状態をAI分析、経年以外の要因でもリスクや影響が判明

日本の水道管は老朽化が進んでいる。一方、水道事業体は、人手不足や給水人口減に伴う料金収入の減少による経営状態の悪化に直面していて、水道設備メンテナンスの効率化や精度向上が急務となっている。

年間2万件超発生している漏水・破損事故(国交省令和6年PDF資料)の未然防止や早期復旧による水の安定供給を、限られた人員や予算を有効活用しつつ具現化するには、予めデータに基づいた精緻な調査を実施し、漏水発生リスクの高い水道管から対策していく必要があるという。

日立システムズは、兵庫県内の水道事業体と連携し、「CYDEEN 劣化要因分析支援サービス」を活用して水道管の状態をAI分析する実証実験を今年1~3月に実施。管種や敷設年度等の諸元、漏水履歴等(水道事業体所有)、表層地盤(J-SHIS)等の公開情報など、多種多様なデータを対象にAIによる統計分析手法を用いて、水道管の劣化要因と漏水発生の可能性を分析した。結果――

①耐用年数超で敷設年度の古い水道管でも、漏水発生リスクが低いものが存在、②敷設後30年未満の比較的新しい水道管でも、漏水発生リスクのあるものが存在、③敷設年度に限らず管種や管路延長、水圧、地盤などが総合的に水道管の劣化に影響していることを確認した。これにより水道事業体は、漏水発生リスクの高さを優先順位にして更新を計画でき、より効果的・効率的な更新業務が可能となり、さらなる水の安定供給を実現できるという。

同社は今後も、水圧や流量などデータを活用した上水道管の劣化診断の精度向上、下水道管の劣化診断に取り組むなどして、水道インフラ維持管理に関する研究開発を進める。上下水道の水道管更新・維持管理業務の高度化と効率化に貢献する。同サービスについては、10月幕張メッセで開催される「地方自治情報化推進フェア2025」で展示するとともに、ベンダープレゼンテーションで事例紹介するとのことだ。