スマートな電子レシートが示す、今夏コメ購買のリアルタイム動向は

各種メディアで「令和の米騒動」と報じられた。しかし農林水産省発表によると、今年3月から始まった備蓄米の市場投入により、価格の急騰は一定の歯止めがかかった。買物DXのサービスのデータにおいても、5月以降価格の落ち着きに合わせて消費者の購買量(重量)も前年水準に近づいているという。

農水省が「スーパーでの販売数量・価格の推移」(PDF)を公開している中、東芝データは、東芝グループ(東芝テック製)の電子レシートサービス「スマートレシート®」を通じて、全国約260万人の会員から収集される購買データをリアルタイムに分析・統計化し、生活者の行動変容を可視化している。

今回の分析では、米価格の安定化を受けた消費行動の変化に着目。備蓄米流通量の増加とともに価格は落ち着きを見せ、今年3月初旬(備蓄米入札販売開始)前:前年比約93.46%、備蓄米流通開始後(3月下旬~):前年比約98.69%、5月下旬以降(随意契約備蓄米販売開始):前年比約101.5%と、消費者の購買量(重量)も前年同水準となっている。価格安定化を受けて、需要も着実に回復している様子が確認された。

一方で、購買重量単位の変化が顕著だった。今年7月1週目最新の購買データを前年同週と比較したところ、3kg以上5kg未満の購買は前年比で約2.6倍に増加した一方で、10kg以上の購買は前年比約20%にまで減少――。大容量から中容量へのシフトが際立っている。"まとめ買い"から"必要な分だけ購入"へと、生活者が買い方を変化させている。

米価格の上昇に伴い"消費者が主食をパンや麺に置き換えている"可能性についても調査した。昨年4月~今年6月の購買金額および購買数量の構成比を比較したところ、米の購買金額比率は60%台を維持。パンや麺への顕著なシフトは認められなかった。購買数量においても、主食全体に占める米の割合に大きな変化はなかったという。