
気候変動などの影響により、豪雨による洪水災害が全世界的に頻発している。日本国内では、「1時間降水量50ミリメートル以上の短時間強雨」の平均年間発生回数は直近10年間(2015年~24年)で、統計期間の最初の10年間(1976年~85年)の約1.5倍に増加している。
上記気象庁の観測データが公表されていて、自然災害が激甚化するなか、局地的な豪雨に迅速かつ正確に対応するための情報提供がこれから一層重要になるという。Specteeは7日、今年1月に取得した河川の「洪水予報業務」許可を基にした水位予測の適応範囲を全国(一部地域を除く)に拡大した。これにより、豪雨時には被害状況の迅速な把握が難しいとされている、中小河川について、リアルタイムでの水位予測を提供する。
およそ10年前からSNSや気象データ、道路・河川カメラ等の多様なデータとAIを活用して「危機」情報を解析し、迅速な情報提供を通じて災害対策を支援してきた。同社は今年頭に民間事業者として初めて、AIモデルを活用した洪水予報業務の許可を気象庁より取得――その後も、全国の中小河川に対応できるAIモデルの開発に注力してきた。そして今回、同業務の変更認可を受けて、上記予測を提供し始めた。
過去の洪水時における水位と降水量のパターンをAIで解析し、常時取得している水位データと降水量の予報データ等をもとに、水位の予測を行う。予測結果は、同社が既に提供しているSNS等のデータおよび浸水の影響範囲を地図上に即表示する「リアルタイム浸水推定」等と合わせて、可視化され、ユーザーに通知される。
日本には多くの中小河川が存在する。それらの水位予測を全国で提供し、自治体の防災DX推進に大いに貢献できることを期待しているという。同社は「"危機"を可視化する」をミッションに、これからもAIを活用しながら「レジリエンス社会の構築」に向けて尽力していく構えだ。