
100年以上前から市民の足となり、うどん県をゆく。その鉄道会社では、必要に応じて、朝ラッシュ時間帯の乗降客数を人力計測していた。限られた人員・日時で行われるそれは、列車運行の改善に資する継続的なデータ取得が困難だったという。
三菱電機は今年初め、高松琴平電気鉄道(琴電)の琴平線・栗林公園駅にて、"カメラ映像から列車の乗降客数および駅窓口の滞留時間等を計測・データ分析する"実証実験を行い、当該映像解析が列車や駅窓口の混雑状況見える化に有効だと確認した。4週間にわたり、始発~終電の乗降客数データを取得・グラフ化。データ分析の結果、同駅における夕ラッシュ時間帯の列車利用客数が朝ラッシュ時の半数以下であることが可視化され――
夕ラッシュ時の車両編成を削減できることを導出した。また、駅窓口付近に設置したカメラから利用客の滞留時間データを取得しそれを分析した結果、曜日・時間帯ごとの混雑傾向が明らかとなり、窓口業務の人員配置最適化に活用できることが認められた。今回の成果を基に今後、複数駅での検証、一層多様な映像解析の実証を重ね、解析技術の高性能化を図っていく。
列車運用の最適化については、乗降客数の自動計測により旧来業務を省人化し、混雑状況に応じた最適な運行ダイヤ編成を提案する。駅窓口業務に関しては、人物同定・追跡技術やボディカメラの活用により、利用時間/客とか問合せ内容の傾向分析をして、駅員の配置見直しやリモート対応の導入も含めた、最適な人員配置計画の策定を支援する。
顧客ニーズに応じて、映像解析システムと既設防犯カメラとの連携による課題解決も可能とする。同社はさらに、独自のデジタル基盤「Serendie」との連携によって、より迅速かつ詳細なデータ分析、映像データの取得・分析、課題解決までの一元管理など、新たな価値を生み出す鉄道事業者向け循環型・映像解析ソリューションの創出を目指すという。