
年間4億件近くの納付書が作成・送付され、ほとんど紙と対面での支払いとなっている。日本では今、ネットバンキングやスマホ決済アプリも使えて、住民と民間事業者の利便性および自治体の事務効率向上に資するDX――公金納付のデジタル化が進められている。
国の「規制改革実施計画」等に基づき、2026年9月から、全自治体が利用する地方税ポータルシステム「eLTAX」と「eL-QR」による全国統一の仕組みを活用した電子納付が始まる。先行したeL-QRによる地方税納付では、年間利用8,193万件、納付額約12兆円(総務省令和5年PDF)に達していて、保険料など公金納付のデジタル化も官民双方に大きな効果をもたらすと期待されている。
自治体が同月から公金の電子納付サービスを開始する場合、今年度中に財務会計システムなど関連業務システムを改修する必要がある。そこで、公金納付DX推進上の課題等を明らかにし、より多くの自治体で積極的な取り組みにつなげられることを目的にしたという。TKCは6月25日、同社の基幹系および公会計システム利用顧客を対象にした「公金納付のデジタル化への対応に向けた検討状況に関するアンケート調査」の結果を次のように公表した。
①約8割が取りまとめ担当部署を「設置/設置予定」、②取りまとめ部署は約6割が「会計部門」、③半数以上が「開始時期」を決定(26年9月46%、27年4月6%)、④対応予定の公金の種類は「介護保険料」と「後期高齢者医療保険料」が同率1位。次いで、「行政財産の目的外使用料」や「道路占有料」のほか、「幼稚園・保育園等の利用料」など、⑤6割以上が財務会計システムなどの改修や業務フローの見直し検討を開始。
自治体(特に市区町村)が地方税以外の公金納付DXに円滑対応できるよう、同社は昨秋来、組織横断による専門プロジェクト(Next eL-Payプロジェクト)を稼働させている。