
それは、モバイルアプリなどを通じて「疾患等を治療、管理、予防するため、エビデンスに基づいた治療介入を提供する『デジタル治療サービス』」だ。新たなモダリティ(治療手段)として注目されている。米国やドイツなどではすでに普及が進んでいて、日本でも今後の発展が期待されているが――
この国の当該サービス市場はまだ発展途上であり、認知度の向上、製品開発や承認モデルケースの確立、流通プロセスの整備など、個社単独では解決が難しい課題が多く存在している。それらは多くの企業が連携・協力して取り組むべき共通の課題だという。塩野義製薬、アステラス製薬、NTTデータは今月、デジタル治療サービス(DTx)の普及を目標とし、「DTx流通プラットフォーム」の開発・運用に向けた検討を開始する基本合意書を締結した。
同プラットフォームの構想は、各事業者の協力によるDTx:Digital Therapeutics市場の「共創」を理念として取り組む。DTxの開発に関する知見を有する塩野義製薬とアステラス製薬、そしてIT(情報技術)サービスを提供するNTTデータが、各領域の知見を集約し、業界標準に資するプラットフォーム提供を実現することで国内DTxのスムーズな普及と発展を目指す。
DTx流通プロセスの標準化・医療機関の利用環境の一元化など、デジタル医療サービスの利用に必要な機能を統一することで、医療機関やDTx開発企業の負担を減らし、患者の医療アクセス向上に寄与していく。加えて、それらの取り組みを推進する活動として、ヘルスケア企業が参画するコンソーシアムの設立についても検討を進めていくという。
3社は、来年3月を目処に同プラットフォームの具体的な構想をまとめ、その後の社会実装を狙う。今後DTxの上市を予定している企業や関連企業との連携も視野に入れていて、上記取り組みに賛同してもらえる人たちからの意見を待望している。