
日本の上下水道の配水管は老朽化が進んでいる。現状、年間2万件以上の漏水・破損事故が発生していて、事故発生の未然防止や早期復旧対応を通じての水の安定供給が求められている。水道事業は給水人口の減少による経営事情の悪化や水道局員・事業者の人手不足に対峙している。
国土交通省・水道事業課の令和6年資料(PDF)に上記現状が示され、地域や地形等による個々の設備維持・管理の難しさといった課題も抱えている。水道設備のメンテナンスは効率化や精度向上が急務だという。日立システムズは19日、水運用の効率化と安定供給の両立をサポートする「CYDEEN 水インフラ監視サービス」のオプションとして、AIを活用し通常と異なる水道設備の挙動を事前に検知できる「AI異常検知サービス」の提供を開始する。
生活圏に近い配水管にセンサーを設置。①同センサーが取得した水圧や流量等の過去一定期間のIoTデータを、AIを用いて分析し、水圧や流量に関する正常時に取りうる基準値を生成、②同基準値とセンサーが取得するリアルタイムの水圧や流量等に関するIoTデータについて、AIを用いて比較・分析し、レポートを作成、③正常時に取りうる基準値からの逸脱を把握、微細な変化を捉えることで早い段階で水道設備の異常を検知する。
これにより、水道管破裂などの大きな被害が発生する前に水道設備の早期メンテナンスが可能となる。地域住民へは水道事故による突発的かつ長時間の断水などの影響を少なくでき、水道局員にとっては復旧作業の負担を軽減することやメンテナンス作業を効率化できるメリットがある。
新たな仕組みは神戸市水道局との研究('24年10月発表)をもとにサービス化したものだという。同社はこれからも上記両サービスを通じた水道設備におけるAI分析の高度化、拡大化に取り組むとともに、水道DXの研究開発を進め、高品質な水道事業の実現に貢献していく考えだ。