量子コンピュータ・クラウド用ソフトウェア群をOSSにして提供

量子コンピュータは性能面でスパコンを凌駕すると期待されている。それをシステム化するには、ジョブ管理やスケジューリング、量子プログラムの変換・最適化、キャリブレーション(量子ビットの性能調整)など様々な機能が必要となり、基本ソフトウェアが重要な役割を果たす。だが現状――

基本ソフトウェアに関する公開情報は限られていて、開発規模の拡大や新規参入が困難だ。また、自家製量子コンピュータをクラウド公開したい大学・研究機関・企業は、当該環境用のソフトウェアを多数独自開発する必要があったという。

富士通は、大阪大学の大学院基礎工学研究科情報科学研究科が主導する研究グループに参画し、セックTISとともに、量子コンピュータの基本ソフトウェア「OQTOPUS」を開発してGitHubで公開した。昨年9月公開のアルファ版に実行結果の期待値計算やエラー抑制の機能などを加えて、正式版オープンソースとして阪大の量子コンピュータ国産3号機クラウドサービスにて運用を開始した。

上述の課題を解決するため、4者は、富士通スモールリサーチラボにおける富士通と阪大の量子ソフトウェアに関する共同研究を中核とし、阪大とセックによる量子計算の高速化技術の共同研究成果(2024年6月同年10月)や、阪大とTISによる量子プログラムの変換・最適化技術の共同研究成果を含めたソフトウェア群をOSSにして公開した。

OQTOPUSは量子コンピュータ・クラウドサービスの実行環境構築~運用を網羅する基本ソフトウェアを一括提供する。開発した量子コンピュータをクラウド公開したい企業・団体はこれを利用することで簡便にクラウドサービスをユーザーに提供できる。クラウド公開の障壁を減らし、各ニーズに合わせた自由なカスタマイズも可能にしたという。同ソフトウェアの機能拡張やコミュニティ形成を通じて、4者は量子コンピュータの発展に寄与していく考えだ。