情報通信
世界初となる2バンド光信号WDM伝送構成で60km接続実証に成功

多彩な領域・分野でAIの活用が広がり、データセンタ間の通信トラフィックが急増している。昨今、クラウド利用や映像配信需要の拡大も加わり、国内外で通信トラフィックの増加が続いている。そこで通信網のシンプル化や省電力化を実現する、持続可能なネットワークの構築が必要不可欠だ。
上記課題に一層コスト効率的に対応するには、光ファイバ1芯あたりの大容量化のアプローチが効果的だ。光ファイバの大容量化については、現在使用されているCバンド(1530~1565nm)やLバンド(1565~1625nm)単独での波長多重に加え、C+Lバンドの波長帯域で各信号を多重することで、従来比約2倍の伝送容量が確保可能になるという。
NTT西日本とシスコは13日、拡大を続けるトラフィック需要への持続的かつタイムリーな対応と大容量・低消費電力を両立するサステナブルなネットワークの実現に向けて、世界初となる、コヒーレントプラガブルオプティクス(光トランシーバ技術)を活用したC+LバンドWDM(波長分割多重)伝送構成でのフィールド接続を大阪府内の拠点間約60kmで実証した。
IPと光伝送機能を統合制御する同技術(参考:シスコRON資料)の採用により、伝送容量/ファイバーの大幅増、機器の小型化や装置点数削減、省電力・省スペース運用も実現する。将来的にはCバンド、Lバンド問わず直接WDM伝送装置へ接続することで、大容量はそのままに従来構成比約5割の消費電力、導入スペース約3割削減が可能なネットワークの構築をめざすという。
前者は光技術の適用領域を拡大し、NTTグループのIOWN構想にあるオールフォトニクス・ネットワークへの継続的な進化につなげる。一方、後者は顧客ニーズに沿ったソリューションが提供できるよう、今後もアーキテクチャシフトを推進する――。サステナブルなネットワークの実現に向け、最新技術の研究・開発を進めていく考えだ。