融資業務DXを推進、ベンダー間で連携したシステムの全体最適化へ

ビジネス環境の急変や多様化する顧客ニーズなどに対応する。金融機関にDXの推進が求められている昨今、地域金融機関ではITシステムに起因する、迅速かつ柔軟にサービス提供できないことが課題となっている。なかでも重要な役割を担う融資業務においては――

契約書の電子化やWebチャネルへのシフトなどが急務だが、勘定系システムとの連携を要する融資業務プロセスのDXは難しく、従来型の業務フロー(端末操作、紙媒体)で個別対応している。金融機関では、各種チャネルシステムや外部ソリューションと基幹・勘定系システムが固着していて、新たなサービスの追加時に必要となる勘定系システムの改修が、タイムリーなサービス提供の阻害要因になっていたという。

日立と日本IBMは17日、共創により、「金融機関向け融資DX推進サービス(融資DXサービス)」「金融サービス向けデジタルサービス・プラットフォーム(DSP)」の連携を開始した。一連の融資業務のうち、金融機関側が個別に勘定系システムにアクセスしていた顧客情報や与信などの照会に関するプロセスが、融資DXサービスの機能拡大として組み込まれる。これにより、ワンフロー化して効率化、生産性向上とコスト削減に貢献する。

今回の機能拡大により、融資DXサービスとDSPがAWSのクラウドで連携するため、各金融機関はニーズにあわせたサービスを選択でき、柔軟な拡張性と計画的なDX推進による迅速なサービス提供が容易になるという。両社は今後の取り組み、上記連携による融資業務のDX変革テーマとして「ペーパーレス化対象範囲の拡大」「生成AIの広域活用(融資契約書の自動生成等)」「ステークホルダーとのデジタル接続」を想定している。

融資業務の事務や審査、郵送物、関係各社とのやり取りの生産性改善やコスト削減にも全方位に取り組むことで、地域金融機関における融資ビジネスの収益性向上に寄与していく考えだ。