ロジスティクス
日本国内の物流ロボティクス市場は2030年度1,000億円超へ

賃料上昇から保管効率が求められるようになり、高密度な保管を実現するロボット自動倉庫の需要が増加した。昨今また、1台で複数商品ケースのピッキング・搬送を行えるACR(自律型ケースハンドリングロボット)が日本市場で脚光を浴びているという。
矢野経済研究所は11日、国内物流ロボティクス市場の調査結果や展望などを公表した。2024年度の同市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比113.1%の404億3,000万円と推計。ロボットのラインナップおよび導入数が増加し、一案件あたりの導入コストも上昇傾向にある。物流現場での自動化の選択肢が増える一方、海外メーカーの日本市場参入も引き続き活発化していて、競争は激化している。
大規模投資を要するロボットの導入は荷主企業が中心だったが、近ごろは物流企業が自ら現場に導入するケースも増加している。物流ロボットのサービス化(RaaS)展開が増えたことや、各種補助金が追い風となり、中小企業もそろりと導入――。従来の小売・卸系物流センター等に加え、パーツセンターなど工場系倉庫に導入されるケースも見られ、利用現場が拡大傾向にある。
同市場規模は右肩上がりで、30年度には1,238億円になると予測する。日本と同じく労働力の減少があるうえに、物価や人件費の高騰がある欧州や米国はじめ海外でも物流ロボットの導入が進んでいる。日本でも地域によって人手不足は既に深刻であり、物流現場作業を自動化せざるを得ない状況になっていくものと考える。
人手が減っていくことを見据えると、ロボットの活用ありきでの物流センター・倉庫構築が必要であり、ロボット導入率アップが見込まれる。事業継続性に資する導入のほか、荷主企業・物流企業ともにビジネス拡大に向け、戦略的に物流ロボット導入を進めるケースも増えていく見通しだという。同社の調査・展望情報等を含んだショートレポートは1,000円で確認できる。