
公的機関への相談件数は増加傾向にある。近年、行政による的確で迅速な対応を支援する重要性が高まっている。この件についてはしかし、「相談先がわからない」「周囲の人や友人に知られたくない」といった声が聞こえてくる。
「離婚」については相談しにくい、課題があったという。DNPは、日本加除出版とHexabaseが提供する「離コンパス」のAI相談サービスを自社の「メタバース役所」に実装する。今月11日~25日、離婚等に関する法律等の専門知識を持つAIを搭載したアバターが相談員(AI相談員)となり、「メタバース役所」で家庭や離婚にまつわる生活者の悩みに応える実証事業を実施する。
厚労省のSNS相談事業の実施結果(PDF)が示す上記状況と、男女共同参画局調査からみえた上記課題(PDF)を背景に、今年1月に両社と協業を開始した(発表記事)。その第一弾として今回、「離コンパス」のAI相談員が生活者に寄り添い、家庭や離婚にまつわるパートナー間の悩みや、両親の不仲に伴う子供の悩みなどに応えることで、実対面相談よりも、心理的抵抗が軽減できるかなどを検証する。
相談の様子を不可視化するプライバシー保護機能があるメタバース役所にて、生活者はAI相談員に匿名で相談できる。行政のDX推進と併せて生活者が安心して相談できるサービスを目指す。この度は、全国複数の自治体の協力下、専門知識を持ち、内容に応じて表情等を変えるAI相談員が寄り添って相談することで、各住民が心理的な壁を低くし、悩みを整理できるかといった実証をするという。
同社は、他の潜在的な悩みや不安・課題等でも、AIアバターとの相談および当該3次元仮想空間の活用を支援。「メタバース役所」で、相談に事務処理の機能を付加して高度化した「AI職員」の提供を予定する。住民サービスの向上とともに、自治体や支援団体職員の負荷軽減、人手不足対応などに取り組んでいく考えだ。