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防災DX、デジタルツインとAIで災害対策・教育・訓練等を高度に

防災・減災計画の土台となる被害想定は過去例や経験に基づく、想像を軸に策定されてきた。今日しかし災害そのものが質的に変化している。考慮事項も多岐にわたる中、各要因が連鎖的に影響する被害想定を従来方式で行うことは限界に達しつつあり、システム的な解決が求められているという。
TOPPANは、ハザードマップなど自治体の持つ様々な災害データを都市のデジタルツインと組み合わせて地域の災害リスクを仮想再現し、災害対策や訓練・防災教育などの自治体業務を支援するサービスを開発した。「地域情報を反映した被害と避難行動の仮想再現」「防災計画などの対応ルールと連動した訓練資料のAI自動生成」「全国対応」といった特長を備えた、これを今月上旬より提供する。
新サービスでは3Dデジタル空間に現実の都市を再現し、避難所などの防災関連施設や、住人の分布と年齢構成などを登録。災害発生時の状況によって変わる被害や避難行動を避難者の属性等も考慮した仮想再現を行い、どの様な状況が起きるかを可視化する。科学計算と地域情報に基づき、様々な条件をデジタル空間で検討し、防災・減災活動に反映させることが可能となる。
デジタルツイン内で起きた災害時の状況を地域防災計画などの行動ルールと組み合わせた――訓練シナリオのAI自動生成、防災教育にも活用できる地域ごとの発災時の再現CG出力や、上記計画の前提となる災害対策検討用データの自動作成により自治体をサポートする。同サービスを用いて、同社は昨年9月より京都大学防災研究所巨大災害研究センターとともに防災計画や訓練におけるデジタルツインの有効性検証を進めている。
現在対応する津波・河川氾濫・高潮以外に、地震・土砂・火災などへの災害種別の拡大や、国交省主導かつ自治体で整備の進む「PLATEAU」の3D都市モデルを活用したデジタルツイン構築にも順次対応し、同サービスの一層高度化を図っていく考えだ。