クレジットカード事業への新規参入意欲が高まっている。これまで、百貨店や電鉄系企業、大手スーパーなどがクレカを発行し、ユーザーの囲い込みや接点の強化、データの利活用、手数料収入などの面で多くの効果をあげてきた。日本では今年、キャッシュレス決済比率が40%に――
いずれ世界最高水準の80%が目標(経産省「キャッシュレス・ビジョン」PDF)のそれは23年に39.3%に達している。一方で、クレカ事業は金融サービスであり、法令順守のための組織体制整備に加え、セキュリティ担保用のシステム構築は複雑で初期投資もかかることから、参入は大手企業に限られていた。そこで昨年5月、所要機能を最小構成モデルでリーズナブルに提供するクレカ処理サービスを開始した。
同サービスの導入を検討する企業からはしかし、クレカ事業の立ち上げや運営には幅広い領域の知見を要するので、ITシステムのみでなく、付随する多様な業務も事業戦略に応じて包括支援をとの声が寄せられていたという。TISとナッジは7日、ライト版クレジットカードプロセッシングサービスのオプションメニューとして、幅広いサービスからなるスタートアップスイートの提供を始めた。
「事業戦略策定を支援」「柔軟にメニューを選択可能」「事業立ち上げから展開まで伴走」といった特長を備えていて、コンサルサービス、マーケティング、法規制対応、クレジット業務関連、顧客対応等、事業の立ち上げ~展開に必要なメニューを包括的に供する。一部はアグレックスやベルシステム24、TOPPANエッジ、片岡総合法律事務所などと共に、各領域を網羅した専門性の高いメニューを届ける。
両社は市場ニーズを踏まえながら同スイートのメニュー改善や拡充、上記サービスをはじめとする金融ITサービスの展開を進め、顧客の金融事業への参入を一気通貫で支援する。専門メニュー拡充のため、アライアンス企業も増やしていく考えだ。