国内Bizチャットツール市場は安定成長下にAI等の取り込みが進む

それは業務シーンでのコミュニケーションを目的としている。速達性のあるメッセージでやりとりがしやすいビジネスチャットツールは、通話機能やビデオ通話を盛り込むことがあり、ファイル共有機能も備えている。他社ツールとの連携を図るなど、ビジネスシーンで必要な機能を取り揃えるソフトウェアも多いという。

矢野経済研究所は5日、国内ビジネスチャットツール市場の参入企業動向や将来展望を明らかにした。2023年度の同市場は、前年度までのコロナ禍の影響で需要を先取りした反動により伸びは鈍化し、事業者売上高ベースで前年度比110.9%の366億7,000万円と推計した。

24年度はオフィスに留まらず、店舗や接客、工場や建設、医療や介護などの現場を含めた業務の生産性向上や自動化を実現すべく、他社サービスとの連携やAIの取り込みなどが活発化している。同ツールは業務に欠かせないプラットフォームへと移行しつつあり、同年度の同市場規模は前年度比109.9%の403億円を見込む。

ツールベンダー各社は自社ソフトウエアに生成AIを取り込んでいて、その向き合い方は2つ。Open AIなど特定の生成AIを取り込み付加価値を上げていくべく、従来サービスのアップデートを進める動きがある一方、生成AIの開発競争スピードが非常に速いこともあり、複数の生成AIと連携のうえ、選択をユーザーに委ねる中立プラットフォームの提供が基本スタンスのベンダーがある。

ビジネスチャットツール市場は25年度以降も成長率は鈍化、だが継続的に拡大する見通しである。業務に不可欠なプラットフォームの位置づけに向けて、各種業務に必須のツール等との連携やAI機能の更なる取り込みなどが今後も進むと考える。金融や医療など業界特化型のビジネスチャットツールは成長の余地が多く残されている、などという。オリジナル情報が掲載されたショートレポートは1,000円で利用できる。