LiDAR×エッジデータ解析のデジタルツインで即時ロボット制御

労働力不足を補い都市の活動やインフラ管理・活用を高度化する、スマートシティの実装が始まりつつある。そこでは、ロボット群を警備・運搬・搬送等に活用することが求められるが、現在、各ロボットの搭載カメラやセンサでは死角等から接近する車や人の動きを検知できず――

混雑エリアでロボットを稼働させる際、車や人との衝突回避が課題だったという。鹿島HDT羽田みらい開発芝浦工業大学は、「HANEDA INNOVATION CITY(HICity®)」において、デジタルツインをリアルタイムに活用し、道路を横断するロボットの自動制御の実証実験を行った。その有効性が確認されたのは国内初だという。

今回実証された自動制御は、建物に設置した複数台のLiDAR(光検出&測距)から取得したロボット周辺の動体のデータをエッジコンピュータで解析し、それらを仮想空間に再現・構築する「デジタルツインのリアルタイム活用」や、「3Dマップの自動作成・更新」「空間の状況をリアルタイムに把握したロボットの自動制御の実現」などを特長とする。

実験では、複数台のロボットを連携制御する鹿島独自のロボット統合管制システムと、リアルタイムに構築されたデジタルツインからロボットの自動制御に必要な空間情報を抽出するHDTの独自技術を組み合せた。これにより、ロボットに搭載されたカメラやセンサでは認識できない離れた位置や死角から接近する車や人を把握し、自動制御にて安全な位置にロボットを停止させて衝突の発生を回避できる。

さらにこれまで困難だったロボット単独での道路横断が可能になったことで、周辺の交通や人混みを加味したロボットの自動制御の実現に近づいたという。4者は今後、道路横断におけるロボットの自動制御の社会実装に向け、HICityだけでなく他の大規模施設にも同技術を展開するとともに、機能の拡充とより安全なサービスの提供を図っていく考えだ。