小規模言語モデルでまずは金融業界向けに生成AIサービスを展開

業務の効率化・省人化、顧客満足度の向上などを目的に、多様な組織が生成AIの活用検討や導入を進めている。そのような中、業務での更なる効果的な活用に向けて、特定の業界や領域に特化して専門知識を有する、効率的な生成AIが求められているという。

CTCは、金融業や製造業などの特定分野向けの生成AI基盤を提供する米Aitomaticと12月に販売代理店契約を締結した。同基盤は、特定の業務や専門分野の情報を学習した目的特化型の比較的小規模な言語モデル(SSM)を構築し、それを複数組み合わせることで高精度回答を実現するプラットフォームだ。

複数のSSMを組み合わせて自組織の業務に沿った精度の高い回答を生成する。SSMは特定領域に絞って短期間での学習が可能で、チューニングやメンテナンスの負荷を軽減できる――。AI自身が最適なSSMを自動的に選択する「AIエージェント」の仕組みも備わっていて、対話の文脈、前後関係、背景、状況などに応じた複雑なタスクにも対応する。

Aitmaticの生成AI基盤は、クラウドおよびオンプレミス環境に対応していて、顧客ごとに最適化された高セキュリティな生成AI環境を実現するという。CTCは、金融商品の需要予測やデータ分析などに関連した大規模なシステム構築で培ってきたノウハウを活かして、財務・非財務データ、貯金やネットバンキング等のマニュアルなどを基に金融業界に特化したSSMを構築し、回答精度の評価・チューニング、システム基盤の構築、保守運用を行う。

同基盤を活用して、投資のリスクや利益を含めた投資ポートフォリオについて対話型で質問や相談に対応する、チャット形式のAI投資アドバイザリーソリューションの開発も進めている。今後は、金融分野でのSSMの開発を行いつつ、製造業を含めた様々な業界向けのSSMも拡充し、生成AIを活用した顧客のDXを幅広く支援していく考えだ。