再生可能エネルギー由来の電力は天候に左右される。1日中安定的に発生するものではなく、時間帯証明のない非化石証書を活用した取引のみでは、同時性のある再エネ電力を調達していると厳に証明することは困難だ。たとえば太陽光発電による電力供給のみでは夜間――
CO2排出量の多い火力電源の比率が高いといった問題があり、夜間における再エネ活用促進のため、時間帯別の電力需給実態に即した環境価値活用の必要性が増しているという。Jパワー、インダストリー・ワン、NSW、Scalarは、再生可能エネルギーの効率的利用と化石燃料の実質的な削減を目指し、「環境価値プラットフォーム」の共同開発を開始した。
今回の取り組みは、再エネが持つ現課題を解決し、時間的価値を付加させることを目的としているという。4社は、データベースにおける改ざん検知ミドルウエア「ScalarDL」を利用したPoC(概念実証)を実施。発電データの保全ならびに改ざん検知が可能であることを確認し、大量のトランザクション処理に対応した同プラットフォームの基礎の構築手法を確立した。
①改ざん検知機能、②非化石価値のプールとマッチング、③時間情報等を活用した非化石比率の可視化といった特徴を備え、非化石電源が発電した時間を正確に記録し、需要データと紐付けることで、時間帯ごとの環境価値を顕在化させる仕組みを提供する。今後増大する環境価値データの流通において、データの完全性と真正性を担保しながら、第三者に証明可能な信頼性のある基盤を届ける――。
同プラットフォームにより、非化石価値の最大化――需要家や小売事業者の非化石比率アップの容易な実現、産地証明付与による地産地消電源の導入促進や、非化石電源稼働インセンティブの創出で化石燃料利用の抑制を実現といった効果が期待できる。24/7 CFE、GXリーグ、カーボンクレジットなど市場動向への柔軟な対応も望めるという。