PETボトル無菌充填ラインをセンシング技術で可視化し9割効率的に

生産年齢人口が減少している。日本国内では人手不足や人材育成の課題が深刻化し、各企業は当該課題の解決に努めている。製造工場においては、DX(デジタル転換)の推進による作業の自動化や生産性の向上、従業員のエンゲージメントを高める取り組みが急務だという。

DNPは、製造現場DX向けの「DNP飲料工場支援サービス」を昨年から提供していて、Meglus Port®と名付けた同サービスに今回、独自のデジタル・自動化技術を活用して、PETボトル充填ライン用「搬送パーツ」のセンシングモジュールを追加した。先月飲料メーカーで運用を開始した、同モジュールは、これまで難しかった搬送パーツ状態の数値化によって、測定・保守業務の効率化につなげ、生産設備の管理・保全の負荷軽減を実現する。

工場支援サービスは、成形機・充填機のグリッパ(物体を掴む・保持するためのデバイス)の自動測定、ラベル搬送の挙動解析、ベルトコンベアでの倒瓶解析など、PETボトル充填ラインだけでなくあらゆる生産設備や包装資材の状態の計測・可視化・分析に利用できる。同モジュールを活用し、上記グリッパの位置や動作状況を自動測定することで、ボトルの成形にて傷がつかないように、予防保全が可能になる。

国内No.1シェアおよび国内外190の導入実績を誇り、0.01mm単位での位置測定を要するグリッパを数百個単位で使用している、「PETボトル用無菌充填システム」では、今般のセンシングモジュールの活用によって、センサーが要修正箇所を適時識別するため、該当部分のみの保守で良くなる。日常的な寸法測定作業の負荷を大幅に軽減し、約90%の時間短縮ができるという。

同社は、機能拡充した「DNP工場支援サービス Meglus Port」を飲料・食品メーカー向けに提供し、2030年までに50ラインの導入を目指す。同サービスのツールやメニュー等も拡充していく考えだ。