情報通信
風雨等で信号伝搬が乱れる環境下、現行システムの50倍以上で光伝送
大容量モバイルネットワークの普及に加え、AIの利活用が急進展している。それらを支えるデータセンター間の通信増に伴い、世界を行き交うデータの量は指数関数的に増加しつづけている。そうした傾向はこれからも続くと予想され、陸上基幹光ネットワークは継続的な大容量化への対応が必要だという。
NTTは、風雨などの外乱によって光ファイバケーブル内の信号伝搬環境が変動するフィールド環境下において、安定した最大455テラbpsの信号伝送の実証に世界で初めて成功した。
量産化に適した既存光ファイバと同等の細さを有する12コアファイバを、商用の高密度多心ケーブルに実装・接続した陸上フィールド環境において、大規模MIMO(多入力多出力)信号処理技術を適用することで、53.5kmの伝送距離で上述の大容量伝送を実証した。さらに、日本の基幹光ネットワークの大動脈である東名阪区間をカバー可能な1,017kmの伝送距離において、大容量389テラbpsの中継増幅伝送にも成功した。
①マルチコアファイバフィールド検証環境、②結合型マルチコアファイバ間低損失接続技術、③超大容量MIMO送受信技術を要点とする。従来の50倍以上の伝送容量を持つ、将来の陸上光伝送システムを実現する基盤技術として期待される。今回の成果は、今年9月にフランクフルトで開催された光通信技術に関する世界最大の国際会議「ECOC 2024」の最難関発表セッションであるポストデッドライン論文として採択・発表された。
今般成し遂げた結果には、住友電工と千葉工大と共に実施したNICTからの委託研究で得られた成果を一部含んでいるという。NTTは今後、関連技術分野と連携し、上記技術の研究開発を一層進めることで、2030年代のIOWN構想・Beyond 5G/6G時代の大容量光伝送基盤の実現に貢献する、大容量陸上ネットワークの実用化をめざす考えだ。