DXは諦め半分、荷待ち・荷役作業時間の完全可視化はたった1割

物流業界全体でデジタル化が急務だ。中小運送事業者においては、人手不足やアナログ管理がまだ大きな障壁だ。新物流二法の改善ポイントであるドライバーの平均拘束時間/運行のうち、荷待ち・荷役作業時間の削減について、急ぎ荷主・元請・運送事業者の協働が必要だという。

ウイングアーク1stは、中小企業(従業員数300未満)で運送業務に携わる513名を対象に、「物流業界におけるデジタル化の推進実態調査」を実施した。結果、①物流業界の見積・受注・請求での懸念や障壁は「人手不足・人員体制」が61.2%で最多。②配車・運行計画での懸念や障壁も同要因が6割超、③集荷・輸送・検収においても約6割がそれに懸念・障壁を実感。

④人手不足・人員体制を理由に4割強が「退職を視野に入れた経験」あり。⑤アナログ作業は「ドライバーとの電話」「運転日報の作成」「労働時間の管理」等で、⑥荷待ち・荷役作業時間の完全可視化は1割。――ドライバーの負担軽減に過半が期待を寄せる、荷待ち・荷役作業時間の可視化にあたり、作業報告の不正確さや手作業多によるデータの正確性・即時性の欠如、異なるシステム間のデータ連携が困難といった回答が約65%だった。

多重下請構造の現況では、荷役作業等の時間計測が困難になり、証左が無いまま料金請求される可能性がある。今回のアンケート結果では、デジタル化について約6割が「期待していない・わからない」とし諦めている印象がある。業界全体をデジタル化しない限り、業界の進化は見込めず、人手不足やアナログ管理が解決できない。

まずは紙ベースの業務をデジタル化することを勧める。例えば、荷待ち・荷役作業時間の報告もアプリにて、荷主の案件に実績が紐づいた管理や共有、可視化を実現できるようになる。デジタル管理の導入は、業務効率化や労働負担の軽減に寄与する。物流業界全体の健全な成長と安定した人材確保の進捗に希望の光がさすという。