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廃棄物処理をDX、各工程のデータを蓄積・証跡化して循環経済へ
持続可能な社会を構築する。そのために、使用後の製品を資源として循環させることが求められている。サーキュラーエコノミーの実現では、安定的定量的なリサイクルと、"国産資源"として再生材を生産していくことが重要だが、実態はかなり遅れている。
生産工程や品質情報などの可視化も進んでおらず、供給・品質両面の不安が、企業や社会の循環経済シフトを阻む要因になっているという。廃棄物の回収・処理・再生材生産までの一連工程に対するトレーサビリティシステムの構築と実用化をめざし協業している、サトーとナカダイは今回、廃棄物の手動解体や選別、各処理工程をデジタル化しデータ蓄積とトレースができるシステムを構築した。
今年8月に後者のリサイクル工場で実証実験(PoC)を実施し、その有効性と資源循環に求められるデータ取得に成功した。今後はこれを実運用し、他のリサイクラー(再資源化事業者)や製造企業のリサイクル工場向け商用化を見据えてさらなるPoCを推進する。同システムでは、廃棄物管理コンテナ単位でID化し、マニフェストや内容物の情報をひも付けた管理の実現。当該単位での「内容物」「保管場所」「重量」「工程チェック」管理が可能。
入荷時と処理作業から生まれたコンテナ(有価物/廃棄物)のトレース情報を記録。より細かなマニフェストの処理期限管理を実現。日別・工程別処理量などの可視化。入荷・処理~出荷実績まで重量ベースで管理可能。工場内エリア別・入荷日別の廃棄物在庫見える化――など。
リサイクル処理工程情報のデジタル化により、再生資源の品質グレード要求に応じた情報取得や管理ができる。不安定な廃棄物回収後の情報を全てデータにして出荷の安定と品質の担保が実現される。そうしたデータ化にて信頼性のある再生材が販売できるようになる。新たな仕組みにより、リサイクラーのオペレーションのルール化や処理工程の課題を明確にできるなどともいう。