能登半島を巡る国道249号は、今年元旦の大地震による地割れや崩落の影響を受けた。輪島市沿岸部の通行止め区間について、全長約3kmに渡って切土・盛土から舗装までを行う、啓開工事を担い、日ごとに広範囲の土量計算や工事出来高管理などの計測作業を実施する――
同規模の計測作業を従来の仕方、現場作業員のみで行うことはほぼ不可能だという。大林組はKDDIスマートドローンと、上記国道啓開工事において9月11日より、自動充電ポート付きドローンを常設し、現場状況を日々デジタルツイン化することに取り組んでいる。当該ドローンは月~金曜日に後者の東京都内オフィスで遠隔運航。そしてその撮像、低軌道衛星通信Starlink経由でクラウドに上げた写真から、3次元モデルとパノラマ写真を生成している。
2022年度の検証事業で現場監理業務を80%削減できることを示した(記事)自動充電ポート付きドローンを使った仕組みにて、上記工事の監理業務においても、同程度の作業効率化を確認している。自動充電ポートを活用しない一般的なドローンによる測量と比較した場合も、現場までの移動時間や現場での準備やデータ処理などにかかる時間(約75分/日)の削減を確認している。
今年9月21日に発生した能登豪雨でも、上述の運用体制のもとで自動充電ポート付きドローンの運航を継続(石川県の要請の下、同県災害対策本部および国交省大阪航空局と事前調整)し、3次元モデルを生成して、迅速な現場の被害状況把握に活用した。
工事現場のデジタルツイン化は、現場状況を把握するだけでなく、ドローン撮影で得られたデータと、さまざまな工事情報を組み合わせ活用することにより、建設機械施工の自動化などにつなげることも可能だという。両社は、これからもドローンの社会インフラ化に寄与する取り組みを通じて、豊かでサステイナブルな社会の創造を目指していく考えだ。