長年調理機器を開発しているなかで、様々な食材の変化に関する知見を深めてきた。そしてそれを基に、独自のセンシング技術を開発し、食品製造時の食材の成分変化(水分、発生ガス等)や状態変化(構造、温度等)などを数値化・可視化する取り組みを進めてきた。
従来の一般的な水分量把握法として、食材では、熟練者が物質の見た目・手触りからそれを判断する手法や、試料を乾燥させた際の重量変化を基に測定する方法があり、樹脂では、特定の試薬を用いてする測定方法などがある。これらの仕方にはしかし、属人的とか、時間を要するなどの課題があるという。
大阪ガスと、Google Cloudは、製造業における製品の品質向上や生産性向上などを目的とした、前者のセンシング技術に後者のAI基盤技術を活用して物質内の成分を高精度かつリアルタイムに推定する、AIシステムの開発に向けた共同実証を始めた。今月より来年3月まで、食品関連業種ならびに樹脂関連業種を対象に、上記センシング技術の一つである近赤外分光分析技術と、AIを用いた、物質内水分量の推定精度の検証を行う。
かたやAI基盤技術の提供に加えて、成分推定精度の改善に資する技術情報の提供、提案および助言も行う。かたや近赤外分光分析技術(近赤外・照射光の吸収度合いで成分を判別・定量する方法)による対象物の近赤外スペクトルの測定、およびAIを用いた対象物の近赤外スペクトルの解析による水分量の推定を行う。
ガスセンシング技術、画像解析技術、非接触温度計測技術などのセンシング技術とも、AI基盤技術を組み合わせることで、製造業における様々な物質の成分や状態変化を推定することを目指すという。大阪ガスは、自社のセンシング技術と、Google CloudのAI知見・最先端技術を組み合わせた成分推定AIシステムを、幅広い分野のメーカー系顧客の課題やニーズに応えるサービスとして実現していく考えだ。