ポスト5Gに向けて、世界初のネットワーク運用高度化アプリが登場

デジタルトランスフォーメーション(DX)が急進展している。そのインフラの一つとして5Gモバイルネットワークの普及範囲も拡大し、それを支える通信事業者には、さらなる超低遅延や多数同時接続といった機能強化や、利用者単位、アプリケーション単位でのネットワーク品質確保が期待されている。

また、RAN(無線アクセスネットワーク)領域ではO-RANの構想に基づいてオープン化・仮想化が進んでおり、TCO(総保有コスト)削減も期待されているという。NEDO委託の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、富士通は、AI技術を活用し、モバイルネットワークの通信品質を高めつつ省電力化を図る世界初の技術などから成る"ネットワーク運用を高度化するアプリケーション"を開発した。

「AIを活用しモバイルネットワーク利用者のQoEのリアルタイム推定と品質確保」と「通信トラフィック上昇を予兆検知し、基地局の起動・停止により品質維持と省電力化」を実現し、「サービス品質の劣化検知とエリア再設計によるサービス品質維持」を達成した。運用環境に近い条件下での検証で有効性が確認された同アプリをO-RAN仕様に基づく運用管理システム(SMO)に搭載し、全世界の移動体通信事業者に向け、11月より順次提供開始する。

これにより「つながりやすさ」を発災時やイベント開催時にも実現し、利便性と満足度向上、有事の安全性確保につなげる。モバイルネットワーク事業者におけるトラフィック量に応じた適切な運用によるコスト削減、省電力化を支援する。同社は、さまざまな産業アプリやサービスを支えるネットワークにO-RANプロダクトを供給し、より安心安全でサスティナブルな社会の実現に貢献するという。

一方NEDOは、同技術をはじめポスト5Gに対応した情報通信システムの中核技術を開発することで、日本の同システム製造基盤の強化をも目指すという。