高精細マルチメディアの信号を全光ネットワークで長距離・低遅延伝送

これから一層多彩な仮想現実等が展開される。多くの人が時空を共用あるいは共有したり、遠隔でコラボしたり――。リアルタイムコミュニケーションにおいて、没入感の高いアプリの拡大が期待されている。当該没入には、映像の即時同時性と、実物を見ているような精細さとが求められる。

そのため、一般的な映像音声機器から出力されるHDMI(高精細度マルチメディアインターフェース)信号を遠く離れた場所へ伝送する時にも"低遅延"、"高画質・高音質なまま"であることが要求される。が、IP網利用を前提とした従来技術では、ネットワーク自体の遅延及び帯域不足に伴う信号圧縮による遅延、同圧縮による画質・音質低下が発生してしまい、没入感の高いアプリで必要なリアルタイム性と高精細は達成できなかったという。

NTTは、4K120Hz・FHD240HzのHDMI信号を世界最低遅延である0.1ミリ秒以下で長距離伝送信号へ変換する技術を開発した。同技術とIOWNオールフォトニクス・ネットワーク(APN)を組み合わせることにより、瞬間の動きと音(120fpsの4K映像まで)を即時遠隔拠点にも伝えられる。

HDMI信号を大容量かつ高速なレイヤ1(OTN)信号へ直接収容することで、映像信号の圧縮伸張処理を不要とし、映像品質劣化や通信遅延変動の無い、遠隔伝送を可能とする。同技術×IOWN APNにより、没入感の高いVR・AR、遠隔での合奏・合唱・ダンスレッスン、遠隔ディベートやリモート漫才なども、一層低遅延かつ安定的に実現できる。工場ラインや鉄道・交通の遠隔監視等への適用も期待できる。

今後はユースケースの拡大の検討を進め、豊かな社会の実現を推進するという。同社の新開発技術は、FPGA-IPであるため、ニーズ次第で多様なハードウェアと組み合わせられる。ライセンス販売(技術開示)となる同IPは、最終製品やソリューションで利用可能だ。