新開発AIエージェント系技術にて、生成AIの回答を素早く適切に

ユーザーの命令・指令を受けてデジタルコンテンツを自動生成する。生成AIは、インターネット上の既存データを基に学習しているため、企業固有の情報や個人関連の情報等については答えられず、ハルシネーション(もっともらしい嘘)や回答の不安定さもビジネスユースでの障害となっている。

それらを解決する手段――信頼できる外部情報をAIに参照させるRAG(検索拡張生成)には、公開済みの企業情報や社内情報など文章化された情報を参照する方法と、ナレッジグラフ(グラフ構造知識ネットワーク)を活用する方法がある。現在、一般的な文章を参照する手法を使う場合、ChatGPTはインプットデータに限りがある点に加え、参照情報が多すぎると間違えやすいといった課題があるという。

パナソニックコネクトは、世界的に利活用の進む生成AIの利便性を高めるため、独自開発観察駆動型AIエージェントが生成AIのRAGにナレッジグラフを参照して回答できる新技術を開発した。ベストなリアルタイムパフォーマンスを達成した同技術は、自然言語処理トップレベルの国際学会ACL 2024でその論文が採択された。

AIエージェントがRAGの参照にナレッジグラフを利用できるようにし、自律的な質疑応答を繰り返して情報の取捨選択を可能にすることで、素早く適切に必要な情報を収集でき、ビジネスにおける生産性の向上が見込める。同じ質問に対して安定して同じ回答ができるので、チャットボットなどのサービスにも安心して活用できる。

今後さらに応答速度を高める技術開発を行い、正確で安定した回答をビジネスの様々なシーンで活用できるようにしていく。パナソニックグループでは、顧客に自社のAI製品やサービスを信頼して使ってもらえるように、責任あるAI活用を実践するために定めたAI倫理原則の順守や、未知の情報に対して知ったかぶらないAIなどの技術開発に注力していくという。