水道管内をリモート監視、残留塩素濃度に応じて3種の自動排水

水道水は蛇口での遊離残留塩素が0.1mg/L以上であるべし。水道法施行規則第十七条の定めを保持かつ国の目標値1mg/L以下に抑えるよう、水道事業者は、値変化が予測される場所で、職員の定期巡回による道管内の塩素濃度確認と、バルブを手動で緩めて水を排水することを行っている

場所や季節によっては、常時排水を行っているところもある。排水作業のために職員が1日に何度も現地を訪れ、残留塩素濃度を測定・排水しているケースもある。当該作業は負担が大きく、人手不足の観点からも自動化が求められている。現在、1日に作業員が対応できる排水回数には限りがあるため、1度に大量の水を排出しておかねばならず、本来不要な水の廃棄が発生しているという。

日立システムズは、水道事業における作業員の負担軽減と、残留塩素濃度が一定に保たれた安全な水の供給に向け、「CYDEEN水インフラ監視サービス」に自動排水機能を追加した。塩素濃度の遠隔監視と適時・適量の排水を自動で行える、同サービスでは、マンホールに備えた水質監視装置が残留塩素濃度の低下を検知した際、水道管の末端などに設置した自動排水装置が稼働し、水質が改善したら排水を自動停止する。

排水方法はニーズに合わせて、「都度排水」「任意排水」「定時排水」の3種から選べる。新機能により、現地対応工数が削減でき、職員の負担が軽減する。残留塩素濃度を適切に保ち、安全な水を安定的に供給できる。排水を適量に設定し、無駄を無くして有収率(料金収入)を向上でき、持続可能な上水道を実現できる。

排水作業の負担軽減とともに、安全な水の供給ができるようになり、どの地域においてもサステイナブルな上水道を達成するという。同社は、残留塩素濃度の計測データのAI分析による排水量削減の精度向上などデータ利活用によるデジタル化を推進し、水道事業体の人手不足の問題解決や業務効率化に貢献していく考えだ。