暗号資産管理用アプリ"Web3ウォレット"にICカード認証を装備

暗号資産の取引・管理にはデジタル財布が用いられる。現在、その多くはリカバリーフレーズ――12個以上の単語を紙に書き写してオフライン保管する必要がある。今春1000万口座を超えた状況下で、その点がユーザーには煩わしく、より簡易的な管理手法が求められている。

日本における暗号資産設定口座数は今年4月末次点で1,014万口座となり、年々拡大傾向にある(JVCEA統計情報より)。一方、ウォレットの利用や暗号資産に関しては、セキュリティ面の不安が、普及の妨げとなっている。7月末に実施した独自調査「暗号資産保有者の心理特性や動機の調査」では、18歳〜69歳の一般ユーザー層の暗号資産を保有していない理由は「詐欺や不正のリスクがあるから」が2番目に高い割合を占めていたという。

TOPPANエッジは、暗号資産取引を行う際にICカードをスマホなどのモバイル端末にタッチして認証を実施し、取引実行するWeb3ウォレット向けのカード型セキュリティモジュールを開発した。そして新たな仕組みを国内外の暗号資産のノンカストディアル(自己保管・自己管理型)ウォレット事業者、金融・決済・通信・小売・流通事業者などへ来年春頃より提供する。

新サービスでは、専用のICカードをモバイル端末のNFC(近距離無線通信)にて読み取ることでウォレットアプリ上での暗号資産の取引認証を実施。暗号資産保護において重要なリカバリーフレーズや秘密鍵の保管、認証に関する複雑な初期設定が不要で、ICカードとアプリのみで取引が完結する――ユーザーは手間なくセキュアに暗号資産やNFT(非代替性トークン)の取引を行える。

ICカードと鍵生成・管理システムによる認証システムのみを提供することが可能なため、既に運用されている既存のWeb3ウォレットに組み込めるサービスだという。同社は、これにより、デジタルトラスト分野での事業展開を行っていく考えだ。