コンビナートでDX、業務データ統合活用基盤で安定操業と技術伝承へ

その石油化学コンビナートは12の企業で構成されている。現在、そのうちエチレンプラントで生産される石油化学基礎製品は、パイプラインを通じて、構成3社計5プラントへ、プラスチックや合成ゴム、防腐剤、化粧品、医薬品などの原料として供給されている。

そこでこれまで、エチレン製造の運転業務に関する約3,000のアラーム(異常予兆などの警告)について、デジタル化基盤の構築と効果の検証を行ってきたという。日立レゾナックは、レゾナック大分コンビナートにおいて、プラント操業の安定化と技術伝承を支える当該基盤の本格運用を今年5月に開始した。同基盤には前者のLumadaソリューションで、製造業向けの情報一元管理プラットフォーム「WIGARES」が活用されている。

業務ノウハウのデジタル化や既存システムに散在するデータを統合的に管理する同プラットフォームにより、熟練運転員の経験やノウハウを蓄積し、プラントの異常予兆に対する運転員の行動を支援する。例えば、異常ないし同兆候の解決に必要なマニュアルや図面などの情報を短時間でユーザーに表示する。AIを活用した前者の異常予兆検知システム「ARTiMo」の信号活用により実現した今回の仕組みによって――

レゾナックではプラントの運転員が同じ情報をこれまでの約半分の時間で取得できるようになったという。両社は今後、大分コンビナートにおいて、「WIGARES」を業務ノウハウの継承や安全・安定操業の追及に活用し、業務効率化を進める。業務プロセスやノウハウのデジタル化により、情報の迅速な共有や分析、予測不可能な出来事への素早い対応能力の向上も図る。

そうして、プラント操業の高度化を実現し、事業競争力の持続的な強化に貢献することをめざしている。化学業界へ「WIGARES」の展開を加速していく日立はさらに、業界全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援していく構えだ。