鏡内及び物理スペースを自在に往来するキャラクタや情報との新体験を

デジタル情報を日常空間に溶け込ませる。半透明な鏡の裏に設けたディスプレイで情報を表示する「ミラーディスプレイ」技術は、鏡に映ったユーザとデジタル情報やバーチャルキャラクタを並べて表示できるなど、その誘目性の高さから、サイネージや各種アトラクションで利用が進んでいる。現在また同様に――

ディスプレイの存在を意識させずに映像を空間中に結像させる空中像技術も提案されていて、ライブイベントやスポーツ観戦への応用が進められている。これまでのミラーディスプレイや空中像技術ではしかし、デジタル情報を表示できる領域は鏡の中、もしくは鏡の外に限定されていて、物理的な制約を避けることが困難だったという。

NTTは、デジタル情報が鏡の内外を自在に行き来できる"超鏡空中像表示システム"を世界で初めて開発した。①リアル空間とバーチャル空間をつなぐ超鏡空中像光学系、②直感的なインタラクション手法を特徴とする。同システムにより、鏡の内外を問わずデジタル情報を高い実在感で表示し、インタラクティブかつ直感的な操作が可能になる(デモ動画:YouTube公式チャネル)。

ミラーディスプレイのような映像表示だけでなく、バーチャルキャラクタが鏡の外に飛び出し、ユーザと同じ空間を共有するフィクションのような体験を実現できる。今回開発したシステムでは、移動機構を備えたディスプレイの映像を再帰反射によって空間中に結像させることで、複数のユーザがVRゴーグルや3Dグラスなどの装着物なしに同時に超鏡空中像を視聴できる。

今後、空中像の実在感を向上させるための立体感や高画質化に向けた研究開発を進めるとともに、博物館などの文化施設やイベントなどのエンターテインメントの場でリアル・バーチャル交錯空間における新たな映像視聴体験の創出をめざすという。同社の上記成果は、世界最大のCG国際コンベンションSIGGRAPH2024で披露される予定だ。