中小企業でも利用が増えたRPAは生成AI時代に次のステージへ

2018年頃にソフトウェアロボットを用いて定型業務を自動化する「RPA」ブームが起きた。当時から、AIの併用については、チャットボットとの組合わせでコールセンターを効率化する概念があったが、AI構築・運用のハードルが高かったこともあり、紙書類の電子化にAI-OCRを利用することが主流だったという。

MMRIは、今年3月に1599社へアンケートを実施して、このたびRPAの利用状況をまとめた。中小企業では導入が着実に増え、安価で使いやすいUIやサポートの充実したツールが選択されるようになった。中堅・大手企業では導入率は横ばいだが、企業内利用は進み、ツールの集約が進んだ――。

年商50億円未満の中小企業では社数ベースの導入率が15%となり、前年から3ポイント増加した。導入率は右肩上がりで伸びていて、準備中・検討中とする企業も23%あることから、今後も成長が続くとみられる。RPAのシェアは、1位がマクロマン(無料ツール)とMicrosoft Power Automateで、同率の18%だった。3位以下を含む各ツールのシェアは僅差で、ツールも乱立している状況である。

年商50億円以上の中堅・大手企業において、シェア24%のPower Automateが調査開始以降初めて1位となった。首位に立ち続けていたWinActorは21%で2位に、3位はUiPathで16%となった。複数利用していたツールを減らし、集約する動きがみられる。一方で、中小企業向けRPAが大手企業の各拠点・課などで導入され始めている。そのため今後は、分散型をもってRPAの浸透率が上がるだろう。

中堅・大手企業では「生成AI×RPA」へ。現在流行の生成AIの多くはクラウドで手軽に利用できる。大規模言語モデルによる全社レベルでのプロセス改善、顧客接点の自動化などを進める流れに乗り、RPA市場が再び盛り上げることを期待したいという。