経済安全保障に資するITからなる、偽情報対策システムの開発へ

生成AIや合成コンテンツによる偽情報のネット流通が社会問題化している。当該問題に対して、ディープフェイクを用いた意図的な偽情報を見破る技術などが個別に検討されている現在、偽情報の抽出から分析までの処理を一貫しておこなう仕組みは存在していないという。

富士通は今般、内閣府や経済産業省などが経済安全保障を強化・推進するため連携し創設した「経済安全保障重要技術育成プログラム(通称"K Program")」のもと、NEDO公募「偽情報分析に係る技術の開発」に採択され、偽情報の検知・評価・システム化に関する研究開発に着手する。事業規模は60億円、2027年まで実施予定である。

同事業で開発する偽情報対策システムでは、SNS投稿などの情報の真偽を判定するにあたって、その情報に含まれる文章、画像、音声、動画が生成AI等によって作られていないかといった作為性を判定し、様々な根拠の関係性を繋ぎ合わせた「エンドースメントグラフ」により、それらの整合性や矛盾を分析して真偽の判定を支援するほか、社会的な影響度を評価する。官民の各ユースケースに合わせて個別要件定義を行い――

①メディアごとの情報分析と偽情報検知、②根拠・エンドースメント管理、③総合真偽判定支援、④偽情報影響度評価。これらの技術を組み合わせ、開発技術全体のシステム化を行っていく。同事業の開発技術を統合・システム化することで、今後も一層の拡大が懸念される偽情報に対して、安定的で自律的な経済活動を維持するための偽情報対策の社会基盤を整備する。

同社はNEDOを通じて、上記事業の成果を新産業創出および国際競争力強化につなげ、日本の不可欠性の確保、優位性の向上に寄与する。世界の繁栄と安定が両立する、信頼性のあるデジタル社会を共に創る、自社のマテリアリティの1つである「デジタル社会の発展」に貢献する価値を顧客や社会に提供するという。