"衛星データ×AI+ネオ農業資材"で脱炭素農法・収量アップを実証
健康な食生活や持続的な生産・消費の活発化などに対する戦略策定の動きが諸外国で見られる。わが国でも、持続可能な食料システムを構築することが急務となっていて、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現すると農林水産省がいう。
同省の「みどりの食料システム戦略」では、2050年までに農林水産業のゼロエミッション化、輸入原料や化石由来化学肥料の使用量30%低減等の環境負荷軽減策の推進が定められており、これは、上記政策に沿う具体的な取組みとしても意義があるという。サグリは今月8日、野村證券および野村ファーム北海道の協力のもと、TOWINGならびに自社のテクノロジーを活用した農業分野の脱炭素に関する実証を北海道江別市で開始した。
同社は衛星データをAI技術で活用したソリューションを提供。野村ファーム北海道の農地の一角約2400平米にて、みどりの食料システム法基盤確立(令和4年11月30日認定)事業者TOWINGが独自開発した次世代土壌改良資材「宙炭(そらたん)」散布後の、土質改善による環境負荷軽減効果と、南瓜およびスイートコーンの収量など生産性向上効果を検証する。宙炭を散布した農地での土壌分析、生育分析は初の取り組みになる。
南瓜を9月上旬、スイートコーンを同中旬に収穫(予定)する。今回、宙炭――地域の未利用バイオマスの炭化物に自社保有土壌由来の微生物群を効率的に選別・培養する技術を用いて実現した農業資材。作物の品質・収量向上、温室効果ガス排出量削減、資源循環促進などが可能な――高機能バイオ炭の散布により、化学肥料の大半を有機肥料に転換する農法を実証する。
2022年度「STI for SDGs」アワード 文部科学大臣賞など受賞多数のTOWINGのバイオ炭の農地施用は土壌への炭素貯留(カーボンファーミング)効果があるため、カーボンクレジット制度の活用にも取り組むという。