昨春時点では明確な定義がなかった。多様な定義が提唱されていたという、メタバースについて、有識者たちは、ユーザー間で「コミュニケーション」が可能な、インターネット等のネットワークを通じてアクセスできる、仮想的なデジタル空間(仮想空間)であり、次の4つを備えたものだとした。
①利用目的に応じた臨場感・再現性があること、②自己投射性・没入感があること ③(多くの場合リアルタイムに)インタラクティブであること、④誰でもが仮想世界に参加できること(オープン性)。そんなメタバース等の利活用に関して、各種ユースケースを念頭に置きつつ情報通信行政に係る課題を整理すると、「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」(総務省PDF@デジタル庁)にある――。
2024年5月30日、共同印刷は、学校・オフィス・施設のゲートなど現実空間において広く使われている"ICカード認証"の機能を有したメタバースサービス「TOMOWEL BLUE™」を開発したと発表した。これにより、ユーザーIDやパスワード等での作業に代え、スマートフォンにてICカードを読み取ることで、メタバースへの入室管理を行うことが可能となる。メタバースおよびアバターの制作は、SUSと協業して実施しているという。
「TOMOWEL BLUE」は、同社が培ってきたICカードによる認証技術を応用し、メタバースにおいても現実空間と同様の入室管理を行える。仮想空間への入室に用いるICカード(同社販売)は、学生証、社員証、会員証、各種グッズとしても使える。学生や社員向けの専用メタバース、ファンクラブ会員向けの限定メタバース、グッズの購入者向けのプレミアムメタバースなど、多様なサービスとの連携により、顧客サービスの付加価値向上に寄与するという。
同社は、ICカードで培った製造技術を横断的に活用することで、新たな価値創造をめざしていく構えだ。