金融、共済、農畜産物の直売所の運営、農業資材の販売、生産者への営農指導など、多彩な事業領域がある。協同組合の職員一人ひとりが習得すべき業務や商材も多岐にわたる。そうした中で、業務経験の浅い職員は、問い合せ対応や業務内容の確認に多大な時間を費やしているという。
JA横浜とCTCは、米AITOMATICの目的特化型生成AIサービスを活用し、事務手続きの効率化に関連した実証実験を4月から7月までの予定で行っている。今回の実験は、組合内での質問にベテラン職員並みの回答をするチャットボットの開発を念頭に置いたものだ。
事務手続きや業務マニュアルが特に多い貯金や取引時確認等の信用事業を対象に――関連事務手続きを推論し、質問の趣旨や意図を確認して想定する質問候補を返せる。貯金やネットバンキングなど特定領域ごとに分散開発した――生成AIを活用したチャットボットを導入する。
実験に先立ち、質問に対してどのような観点で目的の情報が記載されたマニュアルを参照しているかのヒアリングをベテラン職員へ行い、そのノウハウに倣って回答を導くよう学習させた。問合せが曖昧で、正しいマニュアルに到達できないケースを想定し、質問を繰り返すことでその目的を明確にする。ボットが高い水準で問合せ対応できるようにするため、実利用した職員からのフィードバックごとに、チューニングを繰り返しつつ精度検証・改善に取り組む。
CTCひなりの「データプレパレーションサービス」を活用し、マニュアルに含まれる複雑な図や表に文字情報を付与してデータ化することで、チャットボットのさらなる回答精度アップも目指している。CTCは、JA-DX推進研究会のサポーター企業であり、今度の実証実験を通してJA横浜のデジタル化に貢献していくという。両者は今後、JAグループの他の組合での利用も想定し、JAの業務における生成AIの活用範囲の拡大を検討していく構えだ。