地域医療を支え続ける病院経営に向けて生成AIを活用する

少子高齢化の進行とともに医療需要が拡大している。日本では、感染症への対応、物価・人件費の高騰等の影響で、地域医療機関の経営環境はいっそう厳しくなっていて、病院の再編や統廃合が進んでいる。

『第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告』(厚労省PDF)に上記環境変化が示されている。そのうえ、医師の働き方改革令和6年度診療報酬改定など、取り巻く環境の激しい変化に対応しつつ、持続可能な病院経営を実現するため、病院は効率的かつ効果的な医療提供体制の構築と経営効率の改善が求められているという。

麻生グループ飯塚病院麻生情報システムならびにNECは今年4月~7月、同病院の経営データをAIで分析し、その結果をもとに生成AIを活用して経営判断を示唆する「病院経営マネジメントサービス」の実証を実施する。そして日本の医療DX推進への寄与を目指す。これは麻生とNECの、地域医療を支え持続可能な病院経営目指す「ホスピタルマネジメント構想」実現に向けた共創活動の一環になるという。

過去15年分の入院日数や病床稼働率などの経営指標データや診療関連情報と、AIデータ分析基盤「dotData」を活用し、病院経営指標の予測を実施する。その予測値と実績値の差異に関する要因を短時間で自動抽出してランク付けする。当該ランキングが高い要因に関わる診療行為や患者の特徴を分析し、詳細な情報や改善アクションを生成AIが提案する。

これにより病院は、経営状況の可視化や傾向分析のスピードアップ・精度向上が可能となり、適切なタイミングで対策を打てるという。NECは上記共創の一環として、麻生情報システムが開発した経営データのリアルタイムな可視化を実現する「診療状況照会システム」を6月から自社の「Cloud Gateway」経由で提供する。さらに、今回の実証の成果を踏まえ、同サービスを2024年度下期中に提供開始する構えだ。