ザトウクジラの来遊をAIにて検知する、観光振興の実現可能性を探る

1964年に当該銀行の八丈島特別出張所を開設した。そして昨今、島内唯一のメガバンクグループとして、IT(情報技術)等により地域課題を解決する「スマートアイランド」の実現に向けて、金融やITの知見とノウハウを活用し、行政や観光事業、一次産業のDXを推進している。

サステナビリティとデジタル転換の推進をめざす('22年協定締結)――島が有する豊かな自然環境を象徴する一つ、近頃回遊が確認されているザトウクジラについて、町や東京海洋大学と連携し、生態調査や観光資源化のためのデジタル技術の導入を支援してきた――なかでも、防災用に導入した定点カメラの映像からクジラの来遊状況を遠隔かつ適時に把握する実証は、現在も継続実施しているという。

みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ銀行及びみずほリサーチ&テクノロジーズと、東京都八丈町は、富士通とともに、今月から10月末までの予定で、同島のスマートアイランド化、サステナブル・アイランド化推進の一環として、先端AI技術「Fujitsu Kozuchi」を活用し、ザトウクジラの来遊状況把握に向けた画像認識AIモデルの実証、および観光振興への活用可能性の検証事業を強化する。

都の「東京宝島 サステナブル・アイランド創造事業」の枠組みを用いて、八丈島の地域資源である豊かな自然環境の保全と適切な活用をめざす。同事業では、ザトウクジラの生態行動を学習させたAIモデルを用いて、島内に設置してある複数の定点カメラの映像データを分析し、ザトウクジラ検知のフィージビリティを検証する。来遊状況の観光客への周知等、具体的な活用方法を見据え、検知結果を還元するための運用フローについての検討も行う。

人手のみで実施していた生態調査を高度化し、生物多様性の保全に貢献する。と同時に、観光客らに来遊状況を適時発信することで、地域資源を活かした新たな観光の魅力を創出していく考えだ。